為替相場では、よく金利差が話題になります。金利の低い通貨から、金利の高い通貨に流れる傾向がありますが、絶対的なものではなく、金利が上昇した理由によっては、売られることもあります。ここ最近のドル安は、金利上昇の理由がネガティブなものなので、金利の上昇がドル安を誘っています。
債券価格の下落が金利上昇の要因ですが、最初のころは、なかなかこのイメージがつかめませんでした。たとえば、額面100万円、金利1%の1年物の債券があるとします。この債券の償還価格は、
1,000,000円 × 1.01(金利1%) = 1,010,000円
(額面) × (金利) = (償還価格)
となります。つまり満期まで持ち続けた場合、101万円手に入るわけです。しかし、何らかの理由で、この債券を90万円で売ったとしたらどうなるでしょう。売り手の懐に入るのは90万円です。では買い手の懐に入るのはいくらでしょうか。答えは、満期まで持ち続ければ101万円です。つまり新たな買い手は、90万円で買って、償還時に101万円手に入れるわけです。これを利息に計算しなおすと、
1,010,000円 ÷ 900,000円 = 1.1222・・・(金利12.22・・・%)
(償還価格) ÷ (買い取り価格) = (金利)
ちょっと割りきれませんが、結果として金利が上昇していますね。最初の金利は1%でしたが、12.2・・・%に上昇しています。これが金利上昇の仕組みです。ちなみに償還価格が変わらないのは、債券の発行者は、満期時に101万円払うと約束しているからです。最終的な債券の保有者がだれであろうと変わりがありません。
今回、アメリカで問題になっているのは、国債の発行額が多すぎて、買い手が足りないのではないか、ということです。買い手がいなければ、目標とした金額を調達できません。資金が調達できなければ、アメリカは景気対策を行うことができません。そもそも債券というものは、償還期限が来れば消滅してしまうものですから、常に買い続けていなければ、リターンが得られませんので、新規の発行には買い手が現れるはずです。にもかかわらず、買い手が現れないということは、通常は、デフォルト(債務不履行)の可能性があると認識されていることなのですが、アメリカはそういう状況に陥っているわけではないですので、すでに保有されている国債を売って、新たに発行される債券を買うことになります。しかし、皆同じことを考えますから、債券価格をディスカウント(安売り)しなければなりません。そうなると、上記の例のように、指標としての長期金利が上昇することになるのです。そして、債券価格が下落するということは、まだ保有している分において、含み損が出ることを意味しており、これが損切りにつながって、さらなる債券価格下落・金利上昇となるのです。
今後も、アメリカは巨額の国債発行を予定しています。しかも悪いことに、世界中が国債の増発を予定しています。アメリカは、日本のように国内の投資家で、国債の増発を消化しきれませんから、海外の投資家に期待しなければならないのですが、こうした海外の投資家も、自国の国債を買いますから、おのずと投資余力が低下します。そうなると残るのは、自国の国債に投資するより、アメリカの国債を買った方がいいという、非常に市場が脆弱な国の投資家になります。しかし、この場合でも、為替リスクがありますし、ほかの国の投資家が、債券を売っていますから、債券価格の下落リスクも出てきます。それを吸収するには、FRBの国債買い取りに頼らざるを得ないのですが・・・。これは、印刷機をフル稼働して、ドルをばらまくのと同じ意味となり、ドル安が進むことになります。アメリカ、大丈夫かなあ・・・。
このままではドル安が進むばかりで、世界経済は深刻なリスクにさらされます。しかし、そのリスクが、リスク回避のドル高を生みだし、ドル安リスクを相殺するのは、皮肉な状況です。とはいえ、このままでは、深刻な事態を招きそうです。今週もよろしくお願いします。
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