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ドルの行方

ドル相場についてずっと考えていますが、現状では年内ドル高、来年以降ドル安の可能性が高いとみています。しかし、これまで大量にドル供給をしてきましたし、ドル調達の仕組みは整っていますから、もしかしたら、ドル安のタイミングが早まるかもという懸念もあります。

例年12月になると、アメリカへの資金回帰の動きに加え、金融機関が年越えの資金を調達するために、ドルが強くなりやすくなります。去年は、こうした需給について知らなかったのでドル円のショートで損失を出してしまいましたが、今年も基本的には同じ展開を予想しています。しかし、ここ最近のFFレートをみると、政策金利を下回る水準でスタートすることが多く、ドルがだぶついている印象を受けます。各国中銀によるドル調達の仕組みが整っていますから、例年ほどドル高圧力が強まらない可能性も意識しておく必要があるかなあ、と感じています。

問題は来年以降。年が明ければ,年越えの為に調達し、余ったドルが放出されるのは確実で、アメリカからも、新規の投資が始まりますからドル安に振れる可能性が高いですが、例年に比べ余力がなく、これまでほどドル安圧力がかからない可能性もあります。しかし、オバマ政権が正式に始動し、景気対策のための国債発行が見込まれますから、一時的に米国債購入のためにドル買いに振れるかもしれませんが、ドルの魅力低下からドル安になると考えています。政策金利はゼロ近辺になっており、長期金利も1%を切っている可能性が考えられますから、ここまで金利が低下した米国債をだれが買うのかという懸念もあります。為替リスクに比べ金利が低すぎるので、非常にリスクが高く、安全度は高いですが、日本のように国債の9割以上を国内で消化できるわけではありませんから、海外からの米国債投資は非常にリスクが高くなってしまいます。米国債増発が、需給悪化が原因の金利上昇を招き、この悪い金利上昇が嫌気される可能性があると考えています。

ドル相場を考える上で、もう一つ考えなければならないのは、相手国の経済状況。これまではユーロがドルの代替通貨として意識されていましたが、ここまでの金融危機で、ユーロの問題点も浮き彫りになっていますから、ユーロも買いにくい。円やポンドは過去の勢いはなく、ドルの代替通貨にはなれませんし、ほかの通貨は論外。積極的にドル売りが進められる状況ではありません。流動性の点からもドルは買われやすいですが、そうした消極的なドル買いを考えても、ドルの信頼度の低下が上回る可能性があります。また世界的にデフレが警戒されている状況で、デフレの可能性が低い国の通貨が買われる可能性が高く、主要国の中では日本になるでしょう。世界に先んじてデフレを経験した日本は、物価がすでに下がっており、相対的にデフレ圧力が弱い。他国のデフレ懸念が強まれば、相対的に円は強くなり、対ドルでも円高が進むはずです。

しかし、基本的に各国の通貨は弱さ比べの状況ですから、リスクマネーが為替よりも商品相場に向かう可能性があります。世界景気後退懸念で株も買いづらく、債券は金利が低すぎて買いづらい。結果的に再び商品相場に注目があたる可能性があります。しかし、商品も需要減による下げ圧力がかかっていますので、相対的に下がらなさそうな商品に資金が流れる可能性が高い。そう考えると、金相場に資金が流れる可能性が高いですね。今回の金融危機がドルをはじめとした各国の通貨に対する信頼度を低下させてしまいましたので、代替資産として金に注目が集まる可能性があると考えています。原油はまだ下落圧力が強いでしょうか。こちらは、世界景気回復の思惑が高まるまで低下圧力がかかりますが、景気回復の思惑が高まれば再び上昇軌道に乗るでしょう。

ドルの信頼度低下で、実物資産である金に注目が集まれば、結果的にドル安・ユーロ高が復活する可能性もありますが、まだこれは先の話。とりあえずは、年末のドル相場の動きに注目で、ドル需要が高まるようなら1ドル100円を回復する可能性も視野に入れておかないといけないですね。ドルの本格的な下落が始まるのは来年春以降だと思います。いずれにせよ、まだ円高が進む可能性が極めて高いです。外貨建て資産への投資はまだ早いですね。

今週もよろしくお願いします。

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